なぜメンテナンスが必要か?
太陽光発電システムは、基本的にメンテナンスフリーの機器であるといわれています。
たしかに、太陽光パネルに故障や不具合が発生することはめったになく、メーカーによっては20年あるいは25年といった出力保証をしているところもあります。 長期間の保証ができるということは、それだけ故障リスクが少なく、メーカーも自信をもって販売している証拠だといえるのではないでしょうか。
その一方で、パワーコンディショナは定期的にメンテナンスを行う必要があります。 太陽光発電システムを構成する機器の中で、パワーコンディショナはもっとも不具合が発生しやすく、交換・修理の依頼が多い機器なのです。
パワーコンディショナの故障・不具合には、いろいろなパターンがあります。 普段あまり気にしない部分であるため、気が付いたときにはすでに数日間運転が止まっていたというケースも非常に多く見られます。
屋内用パワーコンディショナは湿気の多い場所への取り付けに適していません。 湿気の多い場所に取り付けた場合、しばらくしてから故障する可能性があります。
太陽光発電のメンテナンス項目
太陽光発電のメンテナンス項目にはいろいろありますが、特に重点を置いて点検されるのが電力測定です。 測定値によりパワーコンディショナや接続箱、ケーブルなどの異常が見つかるケースもあります。
出力50キロワット以上の高圧連系を行う太陽光発電システムの場合、メンテナンスは電気主任技術士の監督のもと行うよう定められていますが、 出力2メガワット以下のシステムであれば電気主任技術者の業務を外部に委託することも可能です。
住宅用、産業用に限らず、点検する箇所は概ね決まっています。 メンテナンスを依頼したい場合は、販売施工会社に確認してみましょう。
以下に、主なメンテナンス項目をご紹介します。
太陽光発電のメンテナンス項目
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太陽光パネルのメンテナンス
太陽光エネルギーを直流電力に変換する装置です。
【点検項目】- パネルガラス面の汚れや破損の確認
- 架台や配線の破損の確認
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パワーコンディショナのメンテナンス
発電システムで発電した直流電力を交流電力に変換するための装置です。
【点検項目】- 外箱の腐食や配線の破損の確認
- 異音、異臭、発煙、過熱の確認
- 単独運転検出機能の確認
- 通気口、換気フィルタの損傷の確認
- 指示計器の状態確認
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接続箱・集電箱のメンテナンス
接続箱 - 発電した直流電力をまとめ、集電箱またはパワーコンディショナーに供給するための装置です。
集電箱 - 複数の接続箱がある場合、それをまとめてパワーコンディショナに供給するための装置です。
【点検項目】- 外箱の腐食や配線の破損の確認
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キュービクルのメンテナンス(高圧の場合)
発電所から変電所を通して送られてくる電気を変圧する受電設備を収めた装置です。
【点検項目】- 外箱の腐食や配線の破損の確認
- 器具、配線の取付状態及び過熱の確認
- 電圧、電流の測定
- B種接地工事の接地線に流れる電流測定
- 絶縁抵抗測定、接地抵抗測定
- 保護継電器試験
太陽光発電のメンテナンス費用
太陽光発電のメンテナンスは、住宅用であれば契約時に特典として付いているケースもありますが、基本的に有料となります。
メーカーの10年保証を受けるためには、定期メンテナンスを条件としている場合もあり、 メーカーによって費用はことなりますが、1回あたりおよそ1万円から2万円の範囲に収まることが多いようです。
また、産業用システムでは、低圧と高圧ですいぶん価格帯は変わってきます。 メガソーラーなどの大型システムの場合はメンテナンス範囲も非常に広く、有資格者による点検作業が必要となります。
メンテナンスは概ね4年に1度の周期で実施するのが理想とされており、その周期でのメンテナンスを推奨するメーカーが多く見受けられます。
メンテナンスに使われる測定機器
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ストリングトレーサ【SPST-A】
住宅用から産業用、メガソーラーまでの太陽光パネルの電気的なストリング異常を検知する装置です。 施工時、定期点検時の太陽光パネルの良否判定に使用することにより、点検を効率化することができます。
【特徴】- 4ストリングの測定結果を1画面に表示
- ストリング間の相対比較により良否判定が簡単
- 施工時の検査も可能
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セルラインチェッカ【SPLC-A】
住宅用から産業用、メガソーラーまでの太陽光パネルのメンテナンス時に、 各ストリング(複数太陽光パネルの直並列接続回路)を構成する太陽光パネルの配置、故障パネル・故障セルを探査する装置です。
【特徴】- ストリングを構成するモジュールの配置を特定
- 故障個所(断線箇所)を特定
- 陰の影響を受けない探査方式
- 施工時の検査も可能
- モジュール裏面での探査も可能